悲劇

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悲劇

ターゲットが眠る部屋に行くと、40代くらいだろうか。 1人の男がベットに眠っていた。 この人も誰かに恨まれていたのだろう。 私には関係ないが。 静かに近づき、持っていたナイフを心臓目掛けて振り下ろした。 いつもと同じやり方で、直ぐに楽にしてあげよう。 だが、振り下ろした先には誰もいなかった。 慌てて後ろを振り向こうとしたが、首には私の持っていたナイフが光っていた。 いつとられたのだろうか。 「そんなに殺気立ててたら起きちゃうよ?」 殺気は消していたのに、なんで? 失敗したことなんてなかったのに。 「女の子しかもまだ若いじゃん。ダメだよ?こんなの持ってちゃ。」 私はここで殺されるんだ。 でも逃げれるかもしれない。 お父さんに任せよう。 「ごめんなさい。外で知らない人に脅されて……。おじさんを殺さないと家族を殺すって言われて。」 私は演技を始めた。ごく普通の高校生として、逃げるチャンスを伺った。 「そっかー。大変だったね?」 おじさんは優しい笑顔でナイフを私から離すと、頭を撫でてくれた。 「私……。怖くて……。」 我ながらすごい演技だと思う。 どんどん溢れる涙。 「今、コーヒーを作って来るからね?飲めるといいんだけど。」 「はい、飲めます。」 「待っててね。」 そう言うとおじさんは奥の部屋に消えていった。 私はこのチャンスを逃さないように玄関へと走った。
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