5章 紅蓮先輩がお兄ちゃんで私が妹?

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「ほら、お兄ちゃんはどうしたの?」 耳を噛まれそうになる。 「うっ。お、お、お兄……」 なんだろ、とてつもなくデジャブ。 そうだ。前に教師と生徒物をしたから。あれとシチュエーションが似ている。 あの時も紅蓮先生って単語がすぐに口から出なかった。 「ちゃんと名前もつけて」 「ぐ、紅蓮……お、お兄ちゃん」 恋人にお兄ちゃんって呼んで、と言われる日が来るなんて思いもしなかった。 今までの要求の中でも、これはなかなか難易度が高い。 「及第点ってところかな」 「ありがとうございます」 赤点じゃなくて良かった。 多分、やり直しとか言われるのが目に見えてわかるし。 「でもなにも兄にヤキモチ妬かなくても」 「悠、今の兄は誰?」 「ぐ、紅蓮お兄ちゃん……」 「はい、よく出来ました」 頭をナデナデされる。とても心地いい。 でも私の知ってる兄はこんなに優しくない。 多分、紅蓮先輩は1人っ子だ。と、私は妙な確信があった。
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