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「ほら、お兄ちゃんはどうしたの?」
耳を噛まれそうになる。
「うっ。お、お、お兄……」
なんだろ、とてつもなくデジャブ。
そうだ。前に教師と生徒物をしたから。あれとシチュエーションが似ている。
あの時も紅蓮先生って単語がすぐに口から出なかった。
「ちゃんと名前もつけて」
「ぐ、紅蓮……お、お兄ちゃん」
恋人にお兄ちゃんって呼んで、と言われる日が来るなんて思いもしなかった。
今までの要求の中でも、これはなかなか難易度が高い。
「及第点ってところかな」
「ありがとうございます」
赤点じゃなくて良かった。
多分、やり直しとか言われるのが目に見えてわかるし。
「でもなにも兄にヤキモチ妬かなくても」
「悠、今の兄は誰?」
「ぐ、紅蓮お兄ちゃん……」
「はい、よく出来ました」
頭をナデナデされる。とても心地いい。
でも私の知ってる兄はこんなに優しくない。
多分、紅蓮先輩は1人っ子だ。と、私は妙な確信があった。
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