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「だからなんだってんだよ!」
あらま。今の妻のひとことによって、私の希望的観測はあっさり全否定されてしまった。母体だからって襲わないとか、そういう問題じゃないのか。いや、逆に、フランケンシュタインの怪物が、創造主である博士を殺したように。母体だからこそ、殺害の標的にする。そういった、哲学的な意味を持った行動なのか……?
「そんな難しい話はわかんねえよ!」
娘が吐き捨てるようにそう叫んだ。ああ、やっぱりお前はバカ娘だったんだな……。
「なにおう?!」
しまった。つい余計なことを「考えて」しまった。娘は今まで以上に怒り狂って、猛烈な勢いで私に挑みかかってきた。「うわあ!」私は咄嗟に、居間のテーブルに置いてあったお菓子が入ったお皿を掴み上げ。それで飛び掛ってきた娘の横っ面をひっぱたいた。
がううん……!
見事に、カウンターのようにお皿が娘の顔にヒットし。娘は居間の床にゴロゴロと転がった。「やりやがったな!」これを見た妻と母親が、更に血相を変えて襲い掛かってきた。これはいかん。女たちが私を襲う理由を、女たちを乗っ取った虫たちの意図をあれこれ考えてる場合じゃない。とりあえず女たちと、戦わなくては!
私はそう決意すると、私に掴みかかろうとする妻と母親の手からなんとかすり抜け、台所へと向かった。そう、台所なら「武器」になるものがたくさんあるはずだ! 私はそう考えたのだ。考えたところで、「しまった!」と思った。私がそう考えたということは、女たちも私の考えに気づいたということなのだ。なんてやりにくいんだ……!
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