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「も~ろ~びと、こぞ~り~て~~♪」
「また一番かよ!」
またしても娘に強烈にツッコまれたが、致し方ない。別にクリスチャンってわけじゃないんだから。二番なんか歌ったことないし、聞いた覚えもない。まあ、あることはあるんだろうけども。誰もが知ってる、有名な、一番を繰り返し歌うしかないだろ。
「ふふんふんふ~~ふふん、ふふんふんふ~~ふふん♪」
問題は歌詞のこの部分だが、メロディーはわかるんだけど歌詞が思い出せない。だからといって、他の歌に変えたり、アドリブで「替え歌」をするまでの余裕はさすがにない。それに、なんだかこの歌によって生まれている心地よいリズムを、今は大事にしたかったのだ。歌詞を知らない部分があるからといって、一番しか知らないからといって。別の歌に変えようという気は起きなかった。いいじゃないか、一番だけ歌い続けても!
「しゅはきませ~り~~、しゅはきませ~り~~」
歌いながら、女たちが繰り出す攻撃をかわし。そして。
「しゅうわあ~~、しゅうわぁ~ああ」
かわしたところで、攻撃に出る!
「きま、せ、り!」
がううん! ……今まで相手に行動を読まれ、なかなかヒットしなかった私のフライパンが、ものの見事に妻の面をとらえた。「ぎゃん!」妻はもんどりうってぶっ倒れ、居間の床の転がった。
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