それぞれの想いとタイミング

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. 散々迷った挙げ句 “今晩は、お元気ですか?” そう送ってみたメッセージ。 すごい硬いけど、これが精一杯で。 …こんなに自分から送るのって緊張するんだ。 なんて、初めて知った。 それを悠はいつもしてくれてたんだね…。 溜息ついて枕の横に置いた途端に揺れるスマホ。 ドキン、ドキンて鼓動が強く跳ねた。 返って来たのはメッセージじゃなくて『着信』で。余計に気持ちが跳ねる。 ゴクリと思わず生唾を飲んだ。 「…も、もしもし」 『………。』 …沈黙? つ、繋がってるよね? 「あ、あの…悠?」 もう一度問いかけたら 『…眠い。』 いつもの倍位ボソボソした声が響いて来た。 や、やっぱり忙しいから…。 「ご、ごめんね?メッセージなんて送っちゃって。」 「………。」 「あ、あの…もう寝て?切るから…。」 『…ぐりとぐらってさ。』 「え?」 『ネズミだったんだね。』 相変わらず眠そうな、若干…いつもよりスローテンポな声。 『ネズミなのに…カステラ焼いてさ…しかも、何?森の中でだよ? わざわざ家に戻ってフライパンとかボールとか持ち出してさ。凄くない?あいつら。』 「よ、読んだの?」 『…まあね。一日10回位は読んでる、今。』 い、一日10回?! 『ん~!』って今度は伸びをしてるらしいスマホの向こう側の悠。 『同じ内容繰り返し読んでんと眠くなるよね…さすがに。』 『楓の偉大さが分かった』って笑ってるけど。 一体何をやってて『忙しい』んだろう…。 『…メッセージ打ってると途中で寝ちゃいそうだったからさ。』 「ごめん…なさい。」 『ん~?』 「連絡しなくていいなんて言ったくせに、結局しちゃって…。」 『……。』 「…悠?」 『……明日の放課後なら時間あるかな。』 「え?」 『楓にぐりとぐらの偉大さをもっと教えて貰おうかと。』 あ、会える…の? ドキンって鼓動がまた跳ねて、今度は目頭が熱くなる。頬が自然に緩んだ。 「…うん。」 『昼休みは先約ありでさ…』 「うん…。」 『つか、楓、俺の顔、覚えてる?見つけられんの?』 「うん…。」 『…楓さん?どした?』 「うん…。」 “やってみたらさ、案外うまくいったりするかもよ“ その通りだね、フレッド。 .
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