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◇
あ~…さすがに夜に絵本リピートは疲れる…。
眠気と闘いながら、フラフラと自室に戻って来て何気に取ったスマホ。
一気に目が覚めた。
『今晩は。お元気ですか?』
何度確認しても、楓とのトーク画面に表示されているメッセージ。
「…“お元気ですか?”って。」
思わず顔がニヤケた。
何この、嬉し過ぎるサプライズ。
つか、これ、ついさっきだよね、打ったの。って事は、まだスマホ手元にあるかな。
そんな風に考えた時にはもう『通話』をタップしてた。
数回の呼び出しメロディーの後聞こえて来た、『…もしもし』って楓の遠慮がちな声。
それがもうこの上なく嬉しくて
あ~…俺、頑張って絵本読んで来て良かった!
何てシミジミ。
『あの…悠?』
あ、そっか。喋んの忘れてたわ。
すぐ喋んなかったのが余韻に浸ってたからなんて格好悪すぎる。
咄嗟に誤摩化す様に『眠い』なんて言っちゃって、『ぐりとぐら』の話なんてして『切る』つってんの引き留める。
や、無理してないよ?寧ろタイムリーだから、『ぐりとぐら』。
そんな俺の気持ちとは裏腹に
『連絡しなくていいなんて言っといて、連絡しちゃってごめんね…。』
なんて言うから、もう、どうしようもなく、楓に逢いたくなった。
逢ってさ…この腕に思い切っし閉じ込めて、「楓が連絡してくれた事に意味があるんだ」って言いたい。日本だったら、100%『今から行くから』って会いにいく所だけど。
今は残念ながら、異国の地、しかも、大学の短期留学生としてここに来てる身で。一応…『夜間の外出はファミリー同伴で』って規則もある。
と言うわけで、明日のお楽しみ。
朝は…相変わらず無理だし、昼…そっか、明日はダメだわ。
…本気で俺、留学来てまで予定があり過ぎだろ。
まあ、でも。そんなんも、放課後のお楽しみがあれば、頑張れるってもんでね。
「おやすみ」って言い合って切ったスマホを枕元に置いたら、すーっと微睡んでいく。
忙しかったとはいえ、一週間会わないのはやっぱキツかったしね。
久々の楓との時間、堪能しよ。
そんな事考えながら久々に、心地良い眠りを味わえた。
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