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アルマートというコンビニの店員をしている吉田真一は昼の混む時間がやっと過ぎて
店長が「吉田くん。 先に休憩をとるよ。」とくたびれた声で言われる。
吉田真一は、店長が休憩に入ってる間に午前中に出来なかった細かい仕事をやらないといけない。
明日の発注の準備やコーヒー豆やミルクや割箸などの補充等々面倒な作業があった。
吉田がやらなければ誰もやらないので率先してやっていたのだった。
吉田はお客が見えないところでポップ書きをしていた。
一人の男性が来店しているのに気づいた。
その男性客は、籠を持ちあれこれ買ってレジに来たので吉田もすぐにレジへ向かった。
「いらっしゃいませ。」と挨拶をしてから商品をスキャンしていく。
すると、そのお客が「吉田くん。いい仕事をするよね。」と声をかけられた。
吉田は、お客さんに今までそんなことを言われたことがなかったので少し戸惑っていた。
吉田はその人に「ありがとうございます。誉められる事ないんで......」と照れながら答えると
その人が、カウターに自分の懐から名刺を出して吉田に見せる。
名刺の名前には田中と書いてあり、他店のコンビニのマネジャーをしていた。
田中は「私は、吉田くんの働きぶりは、いつも見させてもらっていたよ。ほら、朝たまにコーヒー買ってるんだよ。」と言うと、吉田は思い出して「ああ! 朝のいつもと雰囲気違ったので気づきませんでした。すみません。」と謝ると
田中は「いや、いつも休みの日にコーヒーを買いに来てるから気づかないんだなって思ってたよ。」と言う。
田中は本題に戻して「どう?家の店で働かない? 悪いようにはしないからさ。 もう、上には君の存在を報告してるんだよね。良い人材がいるって、来てくれると嬉しいだかわね......」とニコッと笑った。
吉田は「そのように評価してもらえてありがとうございます。とても、嬉しいです。」と言うと、田中が「じゃあ、一緒に働いてくれるかい?」と聞いたとき、
「ちょっと待って!」と店長がいつの間にか隣に来ていて
「駄目だよ! 吉田君。いや、吉田真一君はこの店のエースだからね! 移籍は認められないよ。」と言う。
吉田は、移籍って野球選手でないんだからと笑ってしまった。
それでもマネジャーの田中は
「いや、店長さん。あまり言いたくないんだけど、この店では吉田君は少し役不足でないでしょうか? この素晴らしいのにもったいない。」と手を広げて絶賛して言う。
吉田は、二人が自分を取り合ってるのにすごく恥ずかしくなっていた。
それを言われた店長は何を勘違いしたのか
「役不足? 失礼な。吉田君は充分役にたっていますよ。すぐ出てくれるし、休憩長引いても文句も言わないし.....」とプンプン言っていた。
田中は「店長さん! 意味間違ってると思うんだけど」と言おうとしたら
店長が「とにかく認めない。」と言う
それを聞いていた吉田が口を開き
「すみません。いいですか? 田中さんとても嬉しいですが、今回は断らせていただきます。そのような評価をもらえただけで幸せです。とても、満足です。ありがとうございます。」と言うと
店長は「吉田君! 」と呟く!
田中は「そうですか。残念ですが、気が変わったら連絡してね。」と言って二人に会釈して去って行った。
その後は店長が今まで以上に働いた。
だが、次の日には、
「吉田君! あとはよろしく。」といつものようにバックルームへいきサボりに行っていた。
吉田は「はぁ」と言いながら、やっぱり、移籍するべきだったかと後悔した。
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