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 ちょっとイラつく。元はといえば、玲次が僕を引っ張り回すから、会ったりする時間がなくなったわけなんだし。 「お前が悪い」 「…は?」 「お前のせいだぞ」  玲次はまるで思い当たらない様子で、表情を変えない。 「何でだよ」 「お前のせいだって」  少し強めに言って、違和感を感じる。玲次のせいなのは確かなんだけど、その中身が、何かズレてるようで。  玲次のせいで連絡が取れなくなったから、離れてしまった。そうじゃないような気がする。  だって今日、電話出来たじゃないか。連絡なんていくらでも出来たはずだ。  それじゃあ? 「どうして俺のせいだ?」 「…言わせる気か?」  玲次が、見たことないくらいに優しく笑う。あと何年かしたら、本物の美形って言えるようになるんだろうな。そんな玲次のその表情は、見とれるくらいに綺麗だった。  玲次の手が、僕の頬にそっと伸びる。  親指が、僕の唇に触れる。  おふざけじゃないものを感じて、反射的に飛び退き、バッグを盾にする。 「…キス、したいなら、ちゃんとそう言えよ」  はっきりしてしまった玲次の想いに戸惑いながら、僕は確認したかった。
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