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言われて振り向くと、助手席にいたはずの崇純さんがもういない。忍さんに連れられて楽屋に入ると、ノアールラムールの面々はもう入っていて、息を弾ませた崇純さんがアッシュさんと向き合っていた。
「具合、どう?」
「大丈夫。崇純は元気そうだね」
アッシュさんは優しい笑顔でくすくすと笑う。
「もう、ほんっとに心配してたんだからな? 胃は痛くない? 顔色はいいみたいだけどさ」
崇純さんはそう言いながら、アッシュさんの顔に手を伸ばし、頬に触れる。まるで恋人同士のように。
ように、じゃないな。恋人同士なんだ。完全なる二人の世界。周りのことは全く目に入ってない。
「な、崇純、今だけ可愛いだろ」
忍さんに言われ、僕は否定できなかった。
後輩の僕が言うことじゃないんだけど、本当に可愛い。アッシュさんのことが心底好きなんだなっていうのが溢れ出てる。ちょっと、羨ましいくらい。
「あいつら遠距離恋愛だから、ライブ中以外離れないよ。さ、荷物運べ」
荷物を運びながら、僕は納得していた。恋愛って性別じゃないよなぁって。
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