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「よくこんなの作ってくれたね…」 「レイジくん、すっごい無茶言うんだもーん」  くっついてきた女の子たちが笑いながら、ねー、なんて言い合ってる。 「店の人、すっごい嫌な顔してたよねー」 「そこまでして作ってきてやったんだ。飲め」  玲次の目を見ると、意味不明な満足感に溢れている。ひょっとして、これも愛情表現の一つなんだろうか…。 「全部飲めよ。飲むまで帰らせねぇからな」  このボックス席の出口側に玲次が陣取って、本当に僕を帰らせない構えに入る。 「嘘だろ、他のもん食べらんない」 「飲め。酒じゃないだけありがたいだろ」 「だけ、だよ!」 「俺のおごりだ」 「結局割り勘じゃん」  何のかんの言いながら、時間をかけて何とか飲みきる。そして時計を見て、僕はキレた。 「玲次! 知っててやっただろ!」 「なーんにも」  しれっと視線を空に浮かせる。  だまされないぞ。 「終電、行っちゃったじゃないか!」 「うち泊まってけば?」 「学校あるんだぞ」 「間に合うだろ」
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