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「何してんだよ」
CDを選ぶふりをしながら、まだ戸惑っている僕に、玲次が声をかける。
あんなに言われたら、いくら鈍い僕だって気になっちゃうじゃないか。一組しかない、玲次の部屋の布団。4月とはいえ、まだ肌寒いし。
実を言うと、僕は男相手で何がどうなるのか、想像もつかないんだけど…それにしたって気になるよ。
「いや、あのー、CDが…」
「あ? どれだよ。何か探してんのか?」
「その…ルー・リード」
「ルー・リード?」
凄まじい枚数の中から、ルー・リードを探し始める。ほんの思いつきでルーの名前を出した僕は、少し罪悪感。
玲次は、僕に気持ちがバレてるってまだ知らないんだよな。それとも、あんなひねくれた告白が通じてるとでも思ってるんだろうか。
熱心にルー・リードを探す玲次の横顔をぼんやりと眺めていた。カッコいいんだよね、確かに。でも、恋愛対象じゃない。
ちゃんと恋愛してる忍さんや誠さんや崇純さんを見て来た割には、僕にとっては向こう側の出来事だったんだ。いきなりそちらに押し込まれても、どうしたらいいのかわからない。
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