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「…悪ぃ、忘れてた。まとめて貸してあるんだった」 「なら、いいよ。別に」 「返って来たら貸してやるよ」 「ああ、うん」  別に聴きたかったわけじゃないから、適当な返事をする。 「ほれ、もう寝るぞ。始発で帰るんだろ」 「…うん」  仕方なく、玲次の横に潜り込む。同じ事を何度もしてるのに、今日に限って変な感じ。 「お前チビだから、手足伸ばして寝られるわ」 「うるっさいなぁ」 「すげぇ余裕」 「いちいちチビとか」  …どうしてこうなるんだか。玲次はまるっきり小学生。色気もへったくれもない。  僕はいつもやられている仕返しに、頬をつねってやろうと手を伸ばす。けど。 「バーカ」  その手を掴まれてしまう。 「お前、鼻低いなぁ」  そう言えば今、凄い至近距離だ。喋る玲次の吐息さえわかるくらい。 「何が言いたいんだよ」 「何でこれでファンがつくかなって思ってな?」 「いいじゃん、別に。そんなの好みの問題だろ」  その僕に惚れてるらしいのは誰だよ。 「目つきも悪ぃし」 「そんなでもないだろ」 「性格悪そーな目」 「悪かったな」  お前の為の目つきじゃないよ、と玲次を睨もうとして失敗する。
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