3人が本棚に入れています
本棚に追加
家に帰ると、時々「由華ちゃんから電話あったわよ」なんて、母さんが呑気に言う。でも、そんなこと夜中に言われたところで電話なんかできない。そもそも、僕は由華の親に嫌われてるんだから。目つき悪いし、前髪長いし。でも、由華は至って普通の女の子。
困ったなぁ、って思うんだけど、今度の土日はナイトメアの仕事で大阪行き。結局、由華とは半月も連絡が途絶えたままだった。
怒ってるかな? って思うけど、それはもう何の感情も呼び覚まさない。
多分、今会っても何も言えないだろうと思う。元々、由華から告白されるまで僕は由華を知らなかったし、じゃあ付き合おうかってなっても、そこまで由華のことを知りたいとも思わなかった。
もうこれ、ダメかな。
玲次と遊んでる方が、よっぽど楽しいんだもんな。
ゲームに熱中する玲次を放っておいて、公衆電話にテレカを入れる。
向こうも、僕のことは諦めてたらしい。
一人っ子のはずの由華の家で電話に出たのは、僕と同世代くらいの男の子。
間違えました、と電話を切って、玲次のところに戻る。
「どこ行ってたんだ」
「ちょっとね」
最初のコメントを投稿しよう!