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それが単なる口実だったのは、すぐにわかった。玲次の部屋に一枚だけあった「ルー・リード」は、ルーが過去に在籍していたヴェルヴェット・アンダーグラウンドだったから。
「僕、ルー・リードって言った気がする」
「それ一枚しか返してくれなかったんだから、仕方ないだろ」
玲次、友達をせっついてくれたんだろうか。それを思うと、まあいいか。
これ、有名なアンディ・ウォーホルのバナナのジャケット。ファーストアルバムだって書いてあったっけ。
僕が生まれるずっと前のバンドなのに、何度聴いても驚かされる。やっぱりこのアルバムすごく好きだ。二曲目のI'm waiting for the manが一番好きな曲。
「そういや、さ」
玲次が僕のサブバッグに目を落としながら言った。僕は内心、ぎくっとする。
「お前、最近彼女どうしてんだ?」
覚えていたんだろうか。由華にもらったって話したキーホルダー。さっき、はずして捨ててしまった。
「…別れた」
「へぇ、何で」
でもまさか、ついさっきのことだとは思っていないらしく、呑気そうにそう聞いてくる。
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