男子高校生は店長に告白したい 前編

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男子高校生は店長に告白したい 前編

 今がチャンスだ! こんなチャンスはもう二度と現れないかもしれない、頑張れ俺! 男を見せろ! 「はじめ君悪いね、こんな遅くまで残ってもらっちゃって」 「えっ! いや、全然大丈夫っスよ!」 「親御さんから怒られない?」 「ウチの親、俺の帰ってくる時間とか気にしてないんで! それよりコレを店長1人にやらせらんないっスよ」  ここは個人経営のレストラン、お客さんは頑張って入れて20人くらいが限界だ。  そんなこの店で、今日は貸切で合コンが行われた……俺が知る限り過去最高に大騒ぎだった。  調子に乗ってクラッカー持ち込んだ奴もいるわ、落とした食べ物踏みつけてフローリングの隙間に挟まってるわ、全席禁煙なのに小皿を灰皿にしてタバコ吸ってる奴がいるわ!  ただでさえ閉店が遅くなったから、他のバイトの奴は店長が帰してしまった。  でも俺はこんな惨状で店長を残したまま帰らない! 店長にカッコいいところを見せたい! 二人きりになれるチャンスなんて滅多に無いんだ! 「はじめ君は高校生なのにしっかりしてるねぇ」  そう言った店長の目は、色っぽくて……伏目がちに俺を見つめる視線に、いつもクラクラするほど胸が高鳴る。  店長はいつも二人きりになった時、俺にこの視線を寄越すんだ……この顔を見ると、どうもイケるような気がしてしまう。長さを整えられたあごひげもセクシーだし、薄めの唇に……キスしたい!  小、中と妻子持ちの男の先生が好きだった……告白なんて出来るわけもなかった。高校に入って、バイトの面接の時店長に一目惚れした! どうしてもここで働きたくて、すげぇアピールして雇ってもらったんだ。  店長は時々知り合いっぽい男の人に誘われていた……肩を抱かれていたり、尻を触られてるのも見た事がある!(俺も触りたい!)多分店長もこっちの人だと思う。もしかしたら都合よく考え過ぎかもしれないけど、それでもこの告白チャンス! 俺はフラれても構わない! 人生初の告白がしたかった、好きな人に好きだと言いたかった! 欲を言うならキスしたい!  片付けも大体終わって、最後にテーブルを拭きあげていた店長に近づく……頑張れ俺! 告白するんだ! 「店長……」 「ん? 終わった? お疲れ様、ありがとね」 「あっ、あの!」  声が出てこない! 今まで散々脳内で練り上げたシミュレーションも全部吹っ飛んだ! え! 俺なんて言おうとしたっけ! っていうか告白ってなんて言えばいいの!?  俺が脳内を真っさらにしていると、まただ、また店長のあの視線だ……色っぽくて、少し熱を帯びた様な……直球で言うなら下半身にストライクする視線だ!  布巾を持った店長の右手の上に左手を重ねて、骨張った手をスリッと撫でた……仕事をしている男の手だ、いつも美味しい料理を作ってる手。 「あの、俺……」  俺より少し背の低い店長と顔がすごく近い、ますます頭が真っ白になって言葉が浮かばない! というかどんどん顔が、顔が近づいて……!  チュッ と音がした  や、やわらか……! ってか今、口にキス!  それどころか自分の唇を覆うように、食べられるように再度重ねられて、思わず抱きしめて店長の口の中に舌を差し入れた。  入れたはいいが、この先どうしたらいいか分からない! チロチロと動かす事しか出来ない俺の舌に、店長が舌を絡めて、俺の口の中に入ってくる。 「んっ、ふぅ」  やべっ、気持ちよくて思わず声が! カッコ悪っ!  せめてもと、店長の肩を強く抱きしめてホールドすると、今度は店長が俺の尻を鷲掴みにして、すげぇ揉まれてる!  店長……タチなのかな、でも、俺は店長を抱きたい! 俺が抱きたい!  店長の後ろにあった客席のソファーへと、店長をぐいぐいと押して押し倒した。 「店長……俺!」  好きです! 好きなんです! あなたの事が! 声に出てない! 「はじめ君、こういうの慣れてないよね? もしかしてはじめて?」 「う、はい……」 「いいのかい? はじめてがこんなオジさんで」  クスクスと笑う店長が、それはもう可愛くて……でもふっと合間に挟まれるあの視線にやられて……。 「店長が……いいです!」 「じゃあ、おいで」  誘われるままに店長の唇に吸い付いた。
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