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男子高校生は店長とデートしたい 前編
店長とお付き合いをはじめて1ヶ月になる……店長とは告白したあの日から何もない! エッチどころかキスも出来てない、そもそも二人きりになる機会がほぼないし、バイト以外で会ってない!
恋人になったら、自然とイチャイチャしたり、キスしたりするもんだと思ってた……これじゃあ告白する前と何も変わらない。
今日は忙しかったわけでも何でもないけど無理矢理お店に居残った、店長も察してくれてるのか何も言わずに残らせてくれている。ホール側の片付けを終わらせて厨房に向かうと、店長が顔を上げて俺にまたあの色っぽい視線をくれた! それはもう触ってもいいって事ですよね!
「店長ぉ〜!」
「ふはっ! 何情けない声出してるんだい?」
両手を広げて店長に抱きついた、久々の店長の感触だ! 店長の匂いだ! 思わず耳の裏辺りをスンスンと嗅いでしまう。
「はじめ君、犬みたいだね」
「俺めっちゃ我慢してたんスよ!」
抱きしめた腕を少し緩めると、店長が俺の背中に手を回してきた。
「キスしていいですか……?」
「いいよ」
顔を傾けながらキスすると、店長のあごひげがさわさわと触れてくすぐったい。
触れるだけのキスを二度重ねたら、店長が俺の口を覆うようにぱくっとしてきたので、そのまま店長の口に舌をねじ込んだ。俺がここ1ヶ月で、ただムラムラと我慢していた訳じゃない事を伝えたい、ぜひ店長に伝えたい! もうチロチロと舐めるだけのキスなんてしませんから!
「んっ……」
キスの合間に店長の声が漏れる、ひいぃぃ色っぽい! エロい! 口を離すと俺より背の低い店長が上目遣いになる、可愛い!
「キスが少し上手くなった? 僕以外の人で練習したのかな?」
「し、しないッスよ! 俺店長一筋ッスよ!?」
褒めて欲しかったのに誤解されるなんてショック!
「前回失敗したと思ったんで、ネットで検索して勉強したんスよ」
意気込んで報告したら、店長がブハッと吹き出した。
「は、はじめ君……真面目だねぇ!」
因みに勉強したのはキスだけじゃない、前回失敗したと思った事すべて、グー●ル先生に教えてもらった!
いまだ俺の腕の中に収まってくれている店長にムラッとして、再度キスしながら店長の背中を撫でた、下に下に……お尻まで手が達した時、店長が口を離した。
「もう、お店ではしないよ? さすがにお客様が食事をするところでは申し訳ない」
「うっ……そうッスよね」
「ごめんね」
ちょっと息子がヤル気になっていたので辛い……俺は学生で土日休みだし、休みの日はバイトだし。お店は平日休み……つまり店長とは休みが合わない! 仕事中にイチャつくわけにもいかないし、どうやったらもっと店長と……あっ!
「店長、今度の祝日お店休みッスよね! デートしましょう!」
「そうだね、いいよ」
っしゃー!! いきなり誘ったから、ダメかと思ったけどあっさりOKを貰えた! そして調子に乗って口走ってしまった。
「エッチも、したいっス……」
だ、ダメかな……?
「……いいよ」
店長が楽しそうに笑いながら、またあの視線で俺を見る……! そんな顔でいいよなんて言われたら、今すぐ押し倒してしまいたい! いや、しかし我慢だ! 俺は我慢を覚えた男なんだ!
「俺、楽しみにしてます!」
それだけ告げて、店長の口に軽くチュッとキスした。
デートまでに計画立てないと!
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「母ちゃーん! 服おかしくない!?」
店長との初デート当日、俺は服を決めかねていた。
「アンタまさか……デート!?」
「ま、まぁね!」
聞かれることは覚悟の上だ、いやむしろ言いたい、俺は今日人生初のデートだと!
「はぁ~……はじめがデートねぇ、同い年なの?」
「いやぁ、ちょっと年上でおしゃれな人だから、大人っぽくしたいんだけど」
本当はちょっとじゃなくて、かなり年上だ。
「変に背伸びしなくていいんじゃない? いつものままでいいのよ」
そんな感じで言いくるめられて、新しめのGパンとパーカーで家を出てきた。そもそも普段着は土日出勤の時に見せてるから、今更カッコつけても仕方なかった。
待ち合わせ場所には15分前に着いた、5分位ソワソワしながら待っていたら、私服の店長が俺の目の前に。店ではいつも黒の制服でカッコいいけど、私服は白のインナーにグレーのジャケットでこれもまたカッコいい!
「もう着いてたのか、早いね」
「楽しみすぎて……いや、今来たとこッスよ!」
「僕も楽しみだったよ」
フワッと笑う店長がすごく可愛い! 店長はカッコいいと可愛いのハイブリットだ、皆さんこの素敵な人が俺の恋人なんですと世界中に叫びたい。
お昼前に待ち合わせしたので、お昼を一緒に食べることにした。お店は俺が母ちゃんに聞いて、美味しい生パスタの店を決めておいた。
「ん! うまいなここのボロネーゼ」
「俺のクリームソースのも美味いッスよ! 小皿に入れますね!」
「僕のも取るよ、交換しよう」
「本当はあーんってしたいんスけどね」
それはさすがに恥ずかしいと言われてしまったけど、店長はこの店の味を気に入ってくれたようだ。これは店選び成功したんじゃないだろうか!?
「ウチもやるか、生パスタ」
「店長の作ったのも食いたいッスね!」
「……伸之」
「へ?」
「デートなんだろ? 名前で呼べ」
ののののの伸之さんっ!! 声に出せてない!
名前で呼ぶ権利を貰った! めちゃめちゃ嬉しいけど、呼ぶのはすごく緊張する。
「が、頑張りますっ……!」
俺はしっかりデザートまで堪能して、少しトイレに立った隙にお会計は済まされていた! こ、これがスマートな大人の対応!?
「スンマセン、奢ってもらって」
「気にしないで……はじめ君が社会人になったら、素敵なディナーにでも誘ってよ」
社会人になったら……店長は軽く言ったけど、俺にはその言葉が衝撃だった。今まで同性が好きな事ずっと悩んできたし、告白すらままならなかったのに……。こうやって恋人になってくれて、デートしてくれて、それだけでも幸せで舞い上がってる。こんな俺に未来の話をしてくれたのが、泣きたくなるほど嬉しかった。
「え、はじめ君どうした!?」
「っなんでもないッス!」
訂正、ちょっと泣いた。
「店長! カラオケ行きませんか!」
店長と二人きりになりたいと思って計画したけど、今は店長に全力でラブソングを捧げたい!
部屋に入ると、店長と二人きりなのをいいことにピッタリ隣に座った。
「ははは、くっつくねぇ」
「店長に触れたくて……ダメッスかね?」
「いいよ」
そうあの色っぽい視線で許可してくれる、その後伏し目がちに視線をスッと外されるのもキュンとくる! 店長の隣にべったりとくっついて、マイクを手に取った。
「俺先に歌っていいッスか! 店長次入れて下さいね!」
「あー……僕はあまり歌は得意じゃないから、はじめ君たくさん歌ってね」
……もしかして、俺 失敗した!?
せめて楽しんでもらおうと、全曲店長へのラブソングを熱唱した!
「スンマセン、俺ばっかり楽しんで」
「僕も楽しかったよ、はじめ君すごく歌上手いよね」
店長の笑顔が優しすぎる、自分が情けない、挽回したい!
「店長! 次、隣のゲーセン行きましょう!」
「ゲーセン……」
「俺、お菓子のクレーンゲーム得意なんスよ!」
意気揚々とゲーセンに入り、ガサガサとお菓子を乱獲して、すごいすごいと言われるのに得意げになっていた。
「店長、これ俺からのプレゼントです!」
そう言って両手にいっぱいのお菓子を渡そうと思ったら、店長がその中のお菓子を一つ開けて、中の小さい個包装を1つ手に取った。
「ありがとう、この歳で太るとなかなか痩せないから、これだけ貰うね」
「うっ……なんか、本当スンマセン」
「はじめ君今日謝ってばかりだね、楽しくない?」
少し困った表情で覗き込まれて、なんとも情けない気持ちだ。
「店長と一緒に居るだけで楽しいです……」
「ははは、可愛いなぁ本当!」
「でも店長は楽しめてないんじゃないかと思って」
「楽しんでるけど……そう思わせてるなら僕が悪いね」
ハッとした、店長は全然悪くない! むしろ店長に行きたいところも聞かず、自分の計画を押し通した俺が悪い!
「……お詫びに、ウチで晩ご飯食べるかい?」
「食べます!」
反省した気持ちを吹っ飛ばして即答した、食い気味に。
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