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甘い? 想い出・・
「でっ、私と付き合いたいって?」
茜は大きな瞳で上目遣いに僕を見ながらそう聞いた。
「そうだ、約束通り、和幸を抜いて成績トップになった。テニスも都大会で優勝した。だから充分その資格があるだろう?」
彼女が右手の人差し指を自分の唇に当てる。
「うーん、どうしようかな……?」
「えっ? だって約束は……!」」
彼女はその人差し指を僕の唇に当てた。僕がその彼女の動作に驚いていると、彼女はゆっくり首を左右に振った。
「それは過去の資格よ。新しい認定資格が在るわ、彼氏……うんうん、花婿候補のね!」
「えっ?」驚いて茜を見つめる。
「知ってるわよ。貴方、MITに留学するんでしょ? じゃあMITを首席で卒業する事。それで貴方を花婿候補に・し・て・あ・げ・る」
彼女はそう言うと、指を僕の唇から外し、首を傾げて満面の笑みを見せた。
「じゃあね。待っているから」
そう言うと彼女は踵を返して去って行った。僕は呆然と彼女の背中を見つめていた。
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