四井重工の先進技術

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四井重工の先進技術

 大きく首を振ると現実に戻った。  既にF53は紀伊半島の沖合の太平洋上空を進んでいた。後席の真理が声を上げる。 「和幸さんのC230が高度6万フィートを速度……えっ? マッハ…2.5でこの機体を抜いて行きます!」 「えっ? C230の最高速はマッハ2.2じゃなかったのか?」 「……情報が古かったか、それともあの機体が特別仕様なのか……だと思います」 「なんだって、それで和幸の行程時間はどのくらい短縮されるんだ?」 「えっと、223分になります。こちらは219分なので、まだ私達の方が先に戻れると思います」  僕は肩を撫で降ろした。(まだ何とかなるか……) ーーー 「拓也さん! あの島です!」  後席の真理が声を上げた。僕も遥か下方に見える小さな島を視界に捉えていた。 「和幸さんは下地島でヘリコプターに乗り換えてこちらに向かっています」 「そうか、まだアドバンテージはこちらに有るな」僕は頷いていた。 「えっ? 拓也さん大変です。彼のヘリコプターの速度は200ノットも出てます。これは現代のヘリコプターの最大速度160ノットを遥かに超えています。最新の二重反転ローターに前進プロペラを組み合わせた四井重工の試作ヘリコプターS97と思われます」 「何だって? それによる和幸の時間は?」 「待って下さい。計算が出ます。私達よりも7分早く東京に戻れます」 「くそっ!」
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