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3日ぶりに来る学校。
とは言え、別に連休があったわけでもないただの金曜日。
下駄箱で靴をはきかえ、2年7組の教室へと足を向ける。
「あ、キヨちゃんや」
「今日来てるんやん」
うしろで、自分の噂話をしている少年たちの声がする。
ほんの一年前まではなかったこと。そして、今では当たり前な日常になってしまっている。
もう慣れたこととはいえ、それでも少し気恥ずかしい。
何気ない様子を装ってそちらを振り向くと、3人の男子生徒がこちらを見ていた。
手を振られたので軽く振り返すと、その中の2人がガッツポーズを決めている。
「うっわ、朝から見れると思わんかったー!」
「おはよ、握手してくれへん?」
「ええよ」
何と言う特徴もない一人がまっすぐ右手をさしだして来たので、キヨリもバッグを持ちかえてその手を握る。
「今日手ぇ洗われへん!」
握手会では飽きるほど聞く言葉だ。
「ありがとぉ」
そう言って小首を傾げて微笑む。
最近ダークブラウンにカラーリングし直した、レトロ風のボブカットが肩でさらさら揺れる。
「俺、めっちゃファンなんやん。今日もこれ買って来たんやて!」
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