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さわやかなイメージの売り出し方であったので、アルバイトにはうるさいこの学校も黙認してくれていた。
この学校を気に入っているキヨリは、仕事があるたびに東京へ出ている。
まとめて仕事をして来ることが多いので、休む時は数日に渡る場合が多い。しかも、一番端の女子クラスにいるのだから、彼女を見つけた男子が少し騒ぐのも無理はないことだった。
それを避けたくて早く来たのに、どんどんギャラリーが増えて行く。
仕事で鍛えた営業スマイルで、次々と頼まれるサインや握手をこなしていると、背後から首根っこを引っ張られた。
「きゃっ」
ぐらりと揺れ、後ろへ一歩下がる。
その時、一瞬目に入った斜め前方の違和感のある雰囲気。
最初からいた男の子の一人だ、とやっと気付く。
「おっはよ。何やってんねん、キヨリ」
「あー、おはよぉ。アイミン」
彼女を引っ張り、背中を叩いたのは同じクラスで昔から仲の良い林田愛美だった。
キヨリの笑顔が引きつっているのを感じとったのか、マネージャーのようにキヨリの前へ出て行って、男子を遠ざける。
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