6人が本棚に入れています
本棚に追加
他人が思うほど芸能人と言うのはモテないものなのだが、そういう女子の気持ちはわからなくもない。
それにしても、ひどい言われようで気の毒なのは須田だ。
「…まあ、騒ぎにも誰の迷惑にもなってへんのやったらええ、かな」
その辺りに話を落ち着けないとどうしようもない。
「うん、全然大丈夫や。良かったなあ?」
「良かった言うてもなあ。別にそういうん違うし、ほんまに」
「何言うてんのん、そんなんしとったら逃げられるやん!」
アイミはどうしてもキヨリの後押しをしたいらしい。拳に力を込めて力説する。
「須田はなあ、気ぃ強いヤツとちゃうねん。キヨリがアイドルやってことを理解したら絶対逃げる。俺なんかとか言うて。せやから、今のうちにとっつかまえて食ってまい!」
「人を肉食動物みたいに…」
「ほんまに食わんようにして」
アイミはそう言って笑う。いくらキヨリでも人まで食べようとは思わない。
「でもなあ、アイミン」
「なに」
「あたし、別に好きとかやないんやってば、須田くん」
「じゃ、嫌いなん?」
机を挟んで、アイミが体を乗り出す。彼女は好きか嫌いかしか持っていないのかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!