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 実は学校指定のコートはあるのだが、誰も制服の上にコートなど着ていないし、重苦しいロングコートは少しも可愛くない。  そこで制服に合うものを買おうと先日から考えていた。それがないと、とてもではないが夜の屋上へは上がれない。 「うん、着んと寒いから」 「中着てへんの?」 「着てるけど、夜はめっちゃ寒いんやん」 「夜…ああ」  アイミは納得した様子でにっこりと笑ってうんうんとうなずく。 「ほな、めっちゃワイルド&セクシーなんをコーデしましょ」 「え? あたしそんなん似合わへんし」 「そんなんで鈍い須田はこませへん!」 「そういうんやないから、普通でええって」  別に勝負服を買いに行くわけでもないのに、アイミはそんな勢いで嬉しそうにしている。  誘う相手を間違えたかもしれない。 「普通? 普通なん? ほなエゴイスト覗きに行こか」 「そういうんやなくてっ」 「こないだから目ぇ付けてるめっちゃいかちぃコートあんねん」  何だかんだといいながら学校を出て、まっすぐ駅近くのショッピングセンターに向かう。  アイミは物慣れた様子で、ギャル系のショップが並ぶコーナーに入り込んで行く。
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