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通りすがりにあちこちのブランドを冷やかしながら、目を付けていたというコートのディスプレイにたどりつく。
「こういうのん」
アイミはそばのラックにかかっている同じコートを手に取り、キヨリに合わせてみる。
キヨリは隣の鏡にちらりと目をやリ、思わず大きなため息をつく。
「…めちゃめちゃ似合わんねんけど、これ」
「…あれえ?」
彼女は適当に笑いながら自分ではおり、鏡をのぞく。鮮やかな赤のコートは、どう考えてもアイミ向きだ。
「可愛いのになあ」
「アイミンには似合うけどねえ」
「ちょっと違ったみたいやねえ」
アイミはやはりそれが気に入ったらしく、さっさと店員を捕まえて支払いをしている。
店員は連れがキヨリだと気付いたらしいが、この店のイメージと違うと感じたのだろう。横目でちらちらと不思議そうに見ている。
「お待たせー。何かええもんあった?」
「ちょっとキャラ違い過ぎ」
笑い合いながらそこを出る。
少し進むと、もう少し大人し目のショップが並ぶコーナーへ出た。ここなら安心して歩ける、と目に付いたショップからのぞいて行く。
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