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5組の教室の中に手を振り、中からはカズナリが投げキッス、となかなかに騒がしい。
これもいつものことと笑いながらそこを通過する。
あと少しで渡り廊下、の所まで来て指をさされたのに気が付いた。
ここは2組だ。
「やからさ、ほら、ベビラブのオーディションで受かった子やって」
指差している男子は、キヨリが気付いていることに気付いていない。
必死になって説明するあまり、声が高くなっているのにも気付いていない様子だ。
「ベビラブ? 何?」
「これやっちゅーの」
今朝最初にサインを欲しがった男子だ。
そのお菓子は、キヨリがデビューするきっかけになったもので、今でもイメージキャラクターとしてCMに出演している。
新製品として予定されたそれが美味しそうだったから、というくだらない理由でCMのオーディションに申し込んだのだ。
受ければ発売前のそれをもらえるかもしれないと。
しかし、たかだかCMのオーディションだったとはいえ、テレビ番組とタイアップとなっていたそれは注目をかなり集めていた。
だから今でもベビラブのCMの印象が一番強いのだろう。
「…これがどないしてん?」
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