冒険者ギルドにて

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冒険者ギルドにて

「ーーなるほど、経緯は了解しました」  狼少女の報告を受けた、耳の長いエルフの黒縁メガネの受付嬢がそういうと、胸のギルド職員バッチを外して、口元に近付ける。 「至急全職員に通達! 初心者用の薬草採取所付近に【場違いモンスター】発生!! 推定戦力は中級以上!! 危険度は【緊急の対策を要する(Bランク)】!!」  全職員の胸のバッチを通して受付嬢の報告が響き渡り、ギルド内はにわかに慌ただしくなった。 「クエスト職員は街の外への初級・中級の依頼を差し止め、現在クエスト中の冒険者を責任者へ報告し、緊急クエストを発行せよ! その他の職員は上級冒険者へ緊急クエスト発布を報告!! ギルドナイトは門番と連携して外への出入りを制限せよ!!」  キビキビと指示を飛ばす受付嬢は、狼娘に向き直る。 「それで、貴女ーーフェルでしたね?」 「あ、はい」 「そのフードの男の特徴を教えてもらってもいいですか?」 「特徴、ですか……」  そう言われても、と、頭上に生えた犬耳をピコピコと揺らしながらフェルは困り果てた。一瞬の出来事で何処から現れたかも良くわかっていないのだ。  しいて言える事があるとすればーー 「魔力で刃を形成した、携帯式の斧を使ってました」 「ふむ……」  受付嬢はその言葉に考え込み、 「なんですか? それは」  と答えた。  その答えに驚いたのはフェルのほうだ。 「え? そういう武器があるんじゃ無いんですか?」 「いえ、寡聞にして聞いたことがありませんね」  駆け出しであるフェルは、てっきりそういう武器を使う冒険者がいるのだと思っていたのだが、どうやらギルドですら聞いたこともないものらしい。
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