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【現在】
記憶を取り戻した少女の眼はからは、とめどなく涙が溢れていた。
終末は何も出来ず、床に投げ捨てられた『データ復元』のためのビンを見つめる。
「君があまりにも知りたがっていたから」
終末は、弁解するように言った。
「こうするしかなかったんだ……………ごめん」
終末は罪悪感で押しつぶされそうだった。
自身に罪悪感を搭載した人間を恨んだ。
この場所こそが、まさに【終末】が造り出された場所だったのだ。
「君は1年前の【5発の核爆弾】によって放射能を全身に浴び、記憶を失ってしまったんだよ」
「あなたはどうして……私の正体を知っていたの」
少女が、そんなことを訊いた。
終末は、タイミングが良い、と思った。
終末は真実を、打ち明けることにした。
「僕も、君と同じだ」
「……えっ?」
「いつか言ったろう、似た者同士だと」
少女の眼から流れる涙が、困惑で止まった。
終末は意を決した。
終末、曰く。
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