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【『終末』の記憶】
なにも人間型爆弾は、アメリカにしか作れない超科学的兵器ではなかった。
【終末】は、米軍が人間型爆弾を造り出したという情報を掴んだ日本政府が製作した【日本製の人間型爆弾】だった。
日本人の優しさか復讐心か、その性能は、放射能への耐久性が優れている以外、ほとんど【米軍製人間型爆弾】と変わりなかった。
人工知能も同様に搭載され、威力もほとんど同等、そしてアメリカへ送り込むため、容姿は欧米人に似せられた。
起爆条件は偶然にも【他者に意図的に触れること】とされ、米軍製のものと同じになった。
製作が終了し、その機能が確認されたところで、【日本製人間型爆弾】には名前が与えられた。
日本とアメリカが核爆弾を撃ち合えば、世界は確実に終末を迎える。
そんな理由で、彼の名前は安易に【終末】とつけられた。
そしていよいよ【終末】がアメリカへ送り込まれる予定日が翌日に迫っていた。
終末は、彼を造り出した博士と、会話をしてその時を待っていた。
しかし、まさにその瞬間だった。
【終末】の参戦を待たずして【5発の核爆弾】が日本に撃ち込まれた。
【米軍製人間型爆弾】は使われぬまま、【終末】の出番もないまま、日本は事実上、滅亡した。
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