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ニタモノドウシ。
少女はその言葉を反芻した。
似ているのはどこなのだろうか。
国は違いそうだ。あの金髪と青い瞳。
性別だって、性格だって違う。
似ているものってなんだろう?
それは境遇くらいだ。
滅んだ世界にたった2人ぼっち。
確かにそんな境遇だけは、似たもの同士といってもいいかもしれない。
「そうかも。確かに私たちは似たもの同士かもね」
少女は、終末の瞳に向けて笑いかけた。
終末は僅かにだけ、その口角を上げる。
それはまるで、ぎこちない作りかけのロボットのような表情だった。
笑顔のプログラムが実装されていないような。
「だから、僕らは旅をしているんだよ」
終末は、機械的に言った。
✴︎
それから、終末と少女は旅を続けた。
何とも出会わず、時々静かに言葉を交わし、まれに建物が崩れ去る音がどこかで鳴る。
そんな不思議で、でもありふれた旅は、終末と少女に少しばかりの安らぎを、確かにもたらしていた。
終末の機械的な笑みを見かけることが少しずつ増え、その度に少女は微笑ましく思い、終末は優しい気持ちになっていった。
その旅はずっと続く。
少女はそう錯覚し始めていた。
だが、旅は1週間後に、突然終わる。
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