特別な日をあなたと共に

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特別な日をあなたと共に

私は鼻唄を交えて、鍋をかき混ぜていた。中身は私の夫が好きだと言ってくれたビーフシチューだ。 夫と結婚する前に私が初めて作って振る舞い「美味しい」と満足げな笑みで言ってくれたのだ。今でもビーフシチューを出しても同じことを言う。 私にとってビーフシチューは思い入れのあるメニューになっている。なので特別な日に作るようにしているのだ。 ちなみに今日は私の誕生日である。 私はビーフシチューの汁をお玉で小さな皿に流し、一口すすった。 「問題ないわね」 私は安心したように言った。 「どうぞ」 「おっ、今日はビーフシチューか」 夫は出されたビーフシチューを見て喜びが顔に満ちている。 私はいつもの席に座った。夫にむかい合う形なので、夫の顔が真正面に見える。 「冷めないうちに食べてね」 私が一声かけると、夫は「ああ」と言ってビーフシチューをすくって口に運んだ。 すると夫は幸せそうに口元を緩める。 「美味しいよ、きみの作るビーフシチューは最高だよ」 夫の誉め言葉に、私まで嬉しくなった。作って良かったと感じた。 ビーフシチューを全て平らげた時に、夫はポケットを探る。 「あ、そうそう」 夫はポケットから小さな箱を出して、私に差し出した。 「これをきみにあげるよ」 私は夫から箱を受け取り、開くとダイヤモンドが散りばめられたピアスが入っていた。 前から私が欲しかったものだ。 「今日はきみの誕生日だしね」 「有難う、大切にするね」 私は心から夫に感謝した。今日が私の誕生日なのを覚えていてくれたことが嬉しかった。 私の誕生日は忘れられない素敵な日となった。
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