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だが。
『永遠の子』は、首を振った。
「もはや、お前の主は、戻らない」
もう、この世のどこにも、存在しないものを戻すことは、さすがの『永遠の子』にもできなかったのだ。
「お前の主は、この世の何処にも、存在するが、そのために、何処にも存在しないといえる。そのようなものをもとに戻すことは、さすがの私にもできない」
『永遠の子』の無慈悲な言葉に、勇敢な猫は、力尽き、そこで、絶望のあまり、死んでいく。
そのとき、猫は、時の狭間に漂う主の欠片を見つけた。
猫は、確かに、見たのだ。
主の姿を。
存在を確定された主は、一瞬、人の姿として、そこに現れるが、愛した猫の死んでいくのを見て、深く、悲しみ、再び、消えてしまう。
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