紫苑楓 プロローグ

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「明日は私もお弁当だからついでに作っといてあげるわ、その代わり中身に文句は言わないでよね」 「やった、ありがとな楓」  洗い物が終わり手をふきながら司に「せめて食器くらいは後でしまっておいてよね、私は勉強するから部屋に戻るよ」 「なんだよ部屋に戻っちゃうのかあ、まだ一年で入ったばっかなんだから勉強なんていいじゃんか、一緒にテレビ見ようぜ」名残惜しそうに楓を引き留めようとする。 「お兄ちゃんこそ勉強しなくていいの?」 「いいのいいの、勉強なんて何とかなるだろ」 「ゴールデンウィーク終わったら中間テストでしょ?進学しないからって何もしてないと留年って事もあるわよ」 「まさか~留年なんかないって」  スマホを見たまま手をひらひらと横にふって答える司。  いい加減な司に、ヤレヤレといったため息をつきながら2階の自室へ向かう楓だった。
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