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低く低く、冷淡に囁かれ、振動を与えられて俺は絶頂する。言葉にならない、きらきらと光る破片が脳裏にちらつく。そのまま、何かを叫んで俺の身体は収縮と弛緩を繰り返し、多量の白濁を自分の腹に撒き散らした。 「はあ、はあ」 「ああ…後ろだけでイくなんてお前最高にエロい…びくびく締まって俺も気持いよ…」 ほら、と奴はぐいと自分自身を奥に入れ込む。絶頂の後の身体に容赦なく奥まで挿し込まれ、俺は体を捩る。 「ああ…もう、俺…」 「そんな顔して。薬の所為だろ、しょうがねーじゃん」 哀しそうに奴は言って、お前の所為じゃねえ、と続けた。 知らないだろう、本当の俺の気持ちは。 こんなにもお前に抱かれたくて、俺は。 今やっと、発情という本能じゃなく自分の意志でセックスしている。 それがこんなにも気持ちいいものだなんて知らなかった。 「今度はほら、ココ自分で揺すれよ」 奴は俺の再び硬くなっていく針を扱いた。それに、俺は震える手を差し伸べる。 白い液体で汚れたそれを、自分自身で扱く。粘ついたそれは淫靡に光って手塚の心をくすぐっているのだろうか。 「いーよ…それ。自分で扱いてさ…そんなにまだイきてーの。いいよ、またイけよ。俺も一緒にイくから」 「イきたいっ…早く…もっと、奥に来て…」 「煽んなよ、そんなさ…我慢できなくなんじゃん」 深く、浅く。連続する弛緩と収縮。 お互いに高め合って、俺たちは頂点に駆け上がっていく。互いの吐息と汗。それとオレンジ色の輝きが二人を彩っていた。オレンジの揺れる髪が、涙で滲んでいく。俺の最奥に深々と突き刺さって、もうそのまま離れなくなりたい。このまま、時が止まってしまえばいいのに。 そんな風に思って、俺は堪らなくなり奴の腕を掴んだ。 「ああ、イく…よ、西岡」 切なく色っぽく囁いて、奴は俺の肩を両手で掴む。そのまま、俺の最も深い部分に打ち付けられて、押さえつけられて逃げられない。犯される快感を俺は体に刻み付けようと必死だった。 前の針を自分で扱くたびに、後ろが収縮するのが分かる。それを手塚が精いっぱい感じているのを見て、俺は二度目の絶頂を迎える。 「てづか…手塚ァ…」 名前を呼んで、そのまま俺の中で果てるくせっ毛を、俺は抱きしめる。コイツの腹と自分の腹に、弾ける俺の白が飛び散っていく。 徐々に弛緩していく自分の身体。その中でまだ自身を主張し、膨張するコイツの凶悪な針。その重さを、俺は一心に受け、満足する。 そのまま、何気なく口づけする手塚は俺の指に、自分の指を絡めてきた。 ああ。もう、このまま… 本当に俺は、もう死んでもいいかもしれない。そう思って、真っ赤に燃える夕日とコイツの瞳に焼かれる様に、俺はそっと目を閉じた。
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