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「――…よっ、と。到着だ。酔ってないか? 大丈夫そうだな、よかった」  揺れがおさまると同時に静寂に包まれた。  先ほどまで感じていた振動のせいで、身体中が痺れていて、まだ揺れているような気がする。  また箱ごと宙に浮くと、今度は恩人さんのテリトリーに戻ってきたことに匂いで気がついた。 「今、開けるからな」  カチャリと音がすると、箱が開いた。 「ほら、出てきていいぞ」  恩人さんのテリトリーだが、不意の襲撃があるかもしれない。  恐る恐る箱の外へと脱出すると、そこには這いつくばった恩人さんがいるのみ。 「心配ないや。でも、やっぱり怖いから、かくまってください」  恩人さんに擦り寄り、コテンと腰を落ち着けて寄りかかると、優しく頭を撫でられた。 「やばいな……、かわいすぎて、おそろしい……」  恩人さんという最強の砦を手に入れると、天敵が隠れていないか室内を見渡していった。
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