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はたと目が覚めた。夢を見ていたようだ。
安物の薄い布団の上、はだけた毛布。
ぼうと天井を見上げてから壁の時計へ目を遣ると、まだ早朝のことであった。時計がいつ時を示しているか確認できる程度に薄暗い。
艶めかしい残り香が芳しく跡を残して消えていった夢。
甘く激しく、壊れるくらいにもっと汚してほしいと、女は訴え続ける。
しかし、私は現へと醒めてしまった。
叶うならば、求められるがままに果てを覚えず女を掻き抱いていたい。そう願いながら夢の中の女を貪っていた。
私は知っていたのだ。これが夢の中の出来事であると。
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