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接吻だと気付くまでに数秒を要した。
私は目を瞑っているようだ。なにも見えない。
そっと瞼を持ち上げていくと、至近距離で女と目が合った。重ねた唇を離すことなく、とろりと歪ませた女の目は煽情的にじっと私を見つめている。
沸々と湧き出していた衝動は激しさを増し始めたが、まだその時では無いような気がした。
期待を求めて私は再び目を瞑ることにした。私が期待したままにまた場面が変わればいい。
場面は変わらなかった。
代わりに押し付けられた柔らかな唇がどんどん私の神経を犯していく。
湿った熱い女の舌の先が私の唇の隙間をゆっくりとなぞった。私は期待をしているのだから、少し口を開き女の舌を招き入れた。
女はまるで強引に私の舌を舐め取ると頻りに自身の舌を絡ませて来る。
唾液が溶け合う。
このままもっと絡み合い溶け合いたいと言いたげな濃厚な舌触りと共に、柔らかな膨らみが洋服越しに当てがわれる。
じわじわと私を圧覚していく。
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