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どうにか未だ抑え付けている衝動故か、感に耐えない新たな興奮が芽生え始めた。
それなのに何故か私は身じろぐことしか出来なかった。
女が私へ与え続ける官能的な感覚へ、まるで受動的に身を委ね浸っていたのだろうか。
刺激的なのにぼんやりとした思考が感覚に飲まれていく。
女の手が冷たいままに火照る私の頰、そして瞼へと触れた。滑らかに女は手を滑らせる。その感触にぞくりと悶えを覚えた。
それからゆっくりと私の身体を支配していこうというように動きはじめた。
暫くすると、女が吐息を漏らした。
そして俄かにか細い喘ぎを上げた。
私はまだ、女に為されるが儘、口付けしか求めていないというのに。
私の首元に居場所を落ち着かせた手がせがむように私の首筋を撫でる。
一度離れた唇から「もっとしましょう」と囁かれ、直ぐにまた私の口を塞いだ。
女は拒まない私の唇と舌を弄びながら、甘さの漂う声で幾らも喘ぐ。
鼻から抜けるような澄んだ高い声が瑞々しい性を私に注ぎ込む。
再び瞼を閉じ、その官能的な耳触りと身体を滑るように撫でていく手触りを感じながら思った。
女は私を誘っているのか、支配したいのか。
瞼を持ち上げると、女は目を閉じていた。
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