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ある日のことだった。
うちの祖父さんがエンディングノートが欲しいと言いだした。
エンディングノートって言えないらしく、エンデングって言ってたけど。
色々とパワフルで、お袋とかも振り回し捲って生きている人だけど、一応後の事は考えているんだな。
何となくそんな事に驚いて、つい俺は祖父さんを見つめてしまった。
「何じゃ?」
「いや別に。……じゃあ、俺が買ってくるよ」
そう言って手を出す俺。もちろん金くれ、というサインだ。
「なんぼぐらいかのぅ?」
「五千円ぐらいじゃね?」
「おお、人生の終わりを彩るだけあって、ええ値段じゃのぅ」
そう言いつつ、財布から五千円札引っ張り出して俺に渡してくれた。
ククク、世の相場を知らん奴はこれだから。
大学生になり、すっかり金欠が身に付いた俺は、半ば金の亡者と化していた。
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