16、ライバルで恋人☆

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16、ライバルで恋人☆

〈密視点〉 「おはよう、密」 「…おはよ」  頬に感じる宗護のキスで、目を覚ます。   「ふぁーぁ。なんで宗護より早く起きれないかな」 「昨日もしちゃったしね」 「…それ言うなよ」  もぞもぞ動いて、宗護の腕の中に入り込む。 「しょうがないじゃん。だって宗護、良い匂いすんだもん」  ぎゅっと抱きついたら安心する。  宗護は俺より早く起きて、朝食の下準備をもう済ませている。  至れり尽くせりとはこの事だよ。  夕方には、もちろん二人で走った。  最近まで大して走って無かったのに、全く息が乱れなかった宗護には腹立つけど。 「どうする?今朝のジョギングは?」 「もちろん、走るよ!」 「ベッドを出る前に、キスしてもいい?」 「ん…」  宗護の唇が、優しく俺に触れる。  俺もキスは好きだけど、宗護もかなり好きだと思う。 「ン…あぅ…って、長い!」 「ごめんごめん。密が可愛いから、ついね」 「走りに行くんだろ?…ん…やっ」  宗護の手が、朝立ちしてる俺のペニスに触れてきた! 「ちょっ!やめろ!」 「だって、勃ってるよ?抜いてあげるよ」 「朝だからだろ!健康な証拠、だから…ンっ、あっ」  なんとか止めさせたいのに、宗護の手が俺のペニスを離してくれない。 「俺のも朝だから元気だよ。密、触って?」  耳元で良い声で囁いて、手を宗護の股間に導かれる。熱く勃った感触に、途端にスイッチが入っちゃう。 「挿れたりしないよ。気持ち良くなって、走りに行こ?」  首にちゅっとキスされたら、もうダメだった。  宗護に扱かれて勃ったペニスは、もう出したくてとろとろとした先走りが止まらない。  宗護もパジャマからペニスを出して、合わせて扱き出した。 「もう宗護…これほんと好きだな?…アっ…んっ」  「密が好きなんだよ」  キスしながら舌を吸われたらイってしまった。 「ン…あっ!…はぁ、はぁ」 「ふふ、昨日もしたから薄いけど、イッちゃった後の密ってほんと可愛いよね」  ペロリと手についた俺の精子を舐めた宗護は、エロくてヤバい。まだ宗護のペニスは勃ったままだし…屈んで先っぽを舐めてやる。腹立つくらいに形が良くて、グロさの欠片も無いんだから。 「えっ朝から良いの?」 「俺だけイかされて、悔しいじゃん」  最初の頃より、かなり上手くなってると思う。  ペニスに舌を這わせて、舐めて、しごいて。。  こんな事、宗護以外には絶対出来ない。 「密、この四つん這いみたいな体勢、エロくて最高…バックから突きたくなる」 「それはらめ。ん。出して」 「ん。気持ちいいよ」  強くペニスが震えたら、びゅるっと精液が飛び出てきた。  宗護の精液も薄いから、こくんと飲み込む。 「ん…薄いね」 「ほんと、悪い子だよね」 「宗護が悪いの!さ、行くよ?」  ベッドから起き出して、宗護の手も引っ張った。  パジャマを着替えようとしたら、背後から抱きしめられる。 「今日は密、家に帰っちゃうでしょ?離したくなくなってきた」  悲しそうに眉が下がった宗護なんて珍しい。  嬉しくて、宗護をぎゅーっと抱きしめる。 「お祭りの日はさ、木曜日だよね。金曜日は片付けだし。木曜日から日曜日の夕方まで泊まりでもいい?」  確かにこの広い家に一人は寂しいよな。  そう言ったら、パァァァッ!って輝くばかりの笑顔で宗護が笑った。お前は芸能人か?  一般人の俺には眩しすぎる。 「さぁ行こ!」 「うん。密と走るの楽しみだな」  二人で着替え、朝の街を走りぬける。  朝の空は綺麗で、流れていく雲すら宗護と一緒に見るならすごく楽しい。 「宗護ー!あれ見て!」  遠くの空に、ソフトクリームみたいな形をした真っ白な雲が見えた。 「美味そー!」 「アハハ、ほんとだ」    パン屋の匂いにお腹が空いたと笑い合い、休日に来ようと話したり、二人で走るとめちゃくちゃ面白い。  ジョギングを終えたらシャワーを浴びて、ご飯を食べる。  今日の朝食は、炊き込みご飯と焼き鮭に、ワカメと豆腐のお味噌汁で、朝からたくさん食べてしまった。  宗護のご飯は、いつも美味しい。  食べたら食器を洗って二人で家を出る。 「よし、じゃあ、またな!」 「うん。密、愛してるよ」 「俺も好き。宗護が、大好き!」  二人でぎゅっと抱きしめ合って、笑い合って登校する。  ほんと、もうこんな恥ずかしい台詞だって言っちゃうし、朝からHな事だってしてしまうし。  しょーがないじゃん。  好きになっちゃったんだから。  ☆  リレーの練習は、吉田に尻を触られるなんて冗談じゃないから、上杉先輩と順番を変えてもらった。 「三嶋ー!」 「ハイ!」  上杉先輩からバトンを受け取り、走り出す。  次の人に渡さなくていいから、アンカーの方が走りやすい!  一位でゴールし、お祭り前夜の最後の練習は終わりになった。  座ってスパイクを脱いでると、吉田がどかっと隣に座りやがった。 「三嶋先輩、ほんと脚速いっすね。順番変わっちまって残念です」  舐めるように脚を見られて、ゾワゾワした。  コイツ、懲りねーな。 「あの桐峰の奴と付き合ってんですか?俺だってαだし、背だって高いし筋肉だってアイツよりありますよ?」 「付き合ってるけどお前には関係無い。宗護は着痩せするタイプだから、吉田みたいに筋肉質じゃないだけだ」  ムキになってしまったのが悪かったのか、吉田が俺の腕を掴みにきた。 「あんた、隠してるけどΩだろ?匂いがするよ。噛まれもしないんスか。アイツはあんたの事、遊びとしか思ってねーよ」  あまりの言い方に言葉が詰まった。 「…違う。宗護は番を拒んだ俺にそれで良いと言ったんだ」 「俺が噛んであげますって。先輩、マジで可愛いしエロいし。気づいてます?汗で乳首、立ってるのモロバレですよ?」  払い除けようと思った時には遅かった。  吉田の手が俺の胸に触れた。 「ギャッ!なにすんだっ!」 「めちゃくちゃ触り心地いいっすね」  飛び退いたけど、一瞬遅かった。  ニヤニヤして笑う吉田に本気で腹が立つ。  吉田も立ち上がり、近寄ってきた。 「先輩、俺は諦めないっすよ。あんな桐峰なんかの」  人がいる方へ駆け出そうとした時、俺を呼ぶ声がした。 「密ー!がんばってんな!」  相澤の声だ! 「渡辺がラーメン食いに行こうってさー奢りだぞー」  佐藤もいる! 「渡辺、ありがとな!」  相澤と佐藤が渡辺に礼を言うと、渡辺が二人の脇腹をどついた。  危機一髪な時に現れてくれるなんて、拝みたくなる。 「みんな揃ってどうした?」  三人はにやりと笑い、佐藤が俺の耳に口を寄せてきた。 「お前の彼氏から、密が心配だから頼むって言われたんだ。確かに最近の密は変わったからな。友人として、一肌脱ごうと思ったわけだ」 「え…ほんとに?」  渡辺が頷く。 「佐藤だけじゃねーよ。俺たちの家にも来て、密を頼むって、アイツ頭下げたもん」と言った。 「そうそう、あんなに真剣に頼まれたら、断れねーよな」そう言うと相澤が笑って、携帯を取り出した。 「というわけで、密、こっち向け」 「え?」  パシャっと写真を撮ったら、相澤は「密の恋人は世界一の心配性〜‼︎」  と笑いながらタップした。 「送信完了!よし、これで安心だろ」  はぁぁあ⁉︎宗護に送ったの?  わざわざ俺の友達んちに行って頼んだ?  吉田に追いかけられた俺を心配して?  佐藤が笑いながら俺のスパイクを持ち上げた。 「さぁ密、着替えてこい。お前の超絶イケメン彼氏から言われてるからな。大丈夫、あの一年は渡辺が見てる」  振り向いたら、いつの間にか渡辺が吉田を捕まえていた。さすが誰とも秒で仲良く話せる奴! 「うん…!着替えてくる!」  佐藤と相澤に手を振って、着替える為に更衣室に向かった。  ☆ 「もしもし?そーご?」  その夜、やっぱり直接聞きたくて、宗護に電話してしまった。 『あいつ、やっぱり諦めてなかったね』  はぁ、と溜息をした宗護がなんだか可笑しくて。 『まぁ大丈夫。密は何も心配いらないからね』  電話越しでさえ、宗護が優しく笑ったのが分かる。  何が心配いらないのか謎だけど、宗護がそう言うならそうなんだろう。 「明日、負けないからね」 『望む所だよ。俺も全力で走るから』  宗護といると、ドキドキしてわくわくする。  こんなに好きな人とリレーで対決だ。楽しみ過ぎて寝られないかもしれないけど明日に備えて目を閉じた。
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