いもうとができました

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いもうとができました

 父との記憶はあまりない。  亡くなったのは私が15歳のとき。15歳なら少なからず覚えてることがありそうなものだが、15歳という時期は自分自身のことで必死な時期だ。父の存在なんてあってなかったようなもので、そのころの私の目の前には新しく始める高校生活でいっぱいいっぱいで、父親の存在は片隅にぽつりとあるくらいのものだった。  急に倒れて死んだので、あまりにも実感としては薄い。ここで父との泣けるエピソードを語れればよかったのだが、そういうことをぱっと思い浮かべられるほど私は父に対して思うことがあまりなかった。  今回、浮気をしていたという事実を聞いて「そうなんだ」くらいの気持ちではある。怒りもなにも感じない。あるのは妹がいたという戸惑いだけだった。
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