オールド

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タイトル「オールド」 作:yoruhashi 6月2日(火) 18:00 「こんばんは、夜のニュースです」 「本日昼頃、●県で走行中の乗用車が橋から河に転落し、車内からは  乗っていた2人の遺体が発見されました。  警察ではこの2人の身元とともに詳しい事故の原因を調べるとのことで…。」 6月3日(水) 12:00  「お昼のニュースです。  乗用車が河川に転落した事故について、警察によりますと  事故の原因は運転操作を誤って車が河に転落した可能性が高く、  事件性は低いとのことです。  遺体の身元は、近くに住む喫茶店経営の高齢の夫婦でした。」 「二人は車の中でシートベルトをしめた状態で発見されており、  目立った外傷はなく、司法解剖の結果、水死と判定されたとのことです。」 「それでは次のニュースです。  ●●動物園でライオンのかわいい赤ちゃんが産まれました。  中継が繋がっています。レポーターの笹井さーん」 <匿名電子掲示板> [48] 高齢者の事故、ほんと増えたよな。 [49] マジ老害カンベン。 [50] ホント多いよな、年寄りの車の事故。 週イチくらいであるじゃん。 [51] ●県の事故は川に落ちたからよかったものの、歩道とかに乗り上げたら 人轢いてんぞ、こいつら。 [52] 高齢者(=犯罪者予備軍)。 [53] ◆県の事故みたいになってたかもな。  アーケードで車が暴走したやつ。 [54] あれは事故じゃなくてほぼ事件な。 [55] 「アクセルとブレーキの踏み間違え」は事故らしいぜ。 [56] でたよ、踏み間違えwww どうしたらアクセルとブレーキまちがえんだよ、あいつらは。 [57] てかさ、やっぱ免許にも年齢の上限は必要じゃね。 20代と80代の運転が同じなわけねーじゃん。 [58] だな。「サポカー」とかそういうの必要ない。 時代に合った制度に作り替えることで事故は十分防げる [59] サポカーって何? [60] アクセルの踏み間違えが起きない車、らしい。 詳しくはしらんけど。 [61] すこし前にあがってた記事↓ 「政府は29日、社会問題化している高齢運転者の交通事故の抑制を  目的とした「サポカー」の市場導入を可及的速やかに進めるよう  大手自動車メーカー各社に指示した。  有識者によると、「サポカー」の普及によって高齢運転者による事故は  8割以上の減少が期待されるとのこと」 [62] 未来!きた!! [63] けっこう高いんじゃね、そういうの。 いまの年金で、そんな高性能車に買い換える余裕とかあんのか? [64] あるわけないだろ。 [65] だからー。もういいかげん70超えたら免許剥奪すりゃいいじゃん。 そーしたほうがいいってみんな思ってるのになんで実現しないわけ? [66] 免許に上限もうけるとなると 「都会はいいけど田舎だと車ないと生きていけなくなるじゃん!」とか 言う出すやついるから [67] それじゃ、田舎に住む老人には免許返納義務を緩めにするとかさ。 都会は70歳まで、田舎は80歳まで運転していいっていうふうに。 [68] お前らバカだろ そんな議論は、ずっと前から続いてるよ。 そもそも「田舎」を全国一律的に定義するなんて無理だろ。 どこで、なにを基準に線引きすんだよ。 仮にその線引きができたとしても都市開発とか衰退とかで町とか村は 変わっていくし、 その都度、「ここは都会になりましたので、免許返納は70歳になりました。 今すぐ返納してください」なんてできるか? [69] もう面倒くさい話はいいから やっぱり70歳以上は全員免許もっちゃいけないようにすべきなんだって。 車は人を殺す道具になり得るんだぞ。 田舎に住んでるから免許剥奪できないとかマジ意味分からん。 [70] 高齢ドライバーをぶっこわーす! [71] でもさ、免許に年齢上限もうけたら、地方はさらに衰退するよね。 [72] 田舎はますます不便になって 日本の地方都市は衰退する…。 [73] は?それがどうしたの? それってある意味「淘汰」じゃん。仕方ねーことじゃん。 [74] ほんそれ。 車がなくちゃ生きていけないほどの田舎で暮らすのを選んだってのが そもそも自己責任なわけだし。 [75] だな。先の短い高齢者が田舎で野垂れ死のうが、前途ある若い命が 連中の起こす事故に巻き込まれないことのほうが重要。 [76] ちょ、お前らこえーって。 おれいまめっちゃ田舎に住んでんだが、ここで老いたくねえ。 老後こええ。 [77] 今回の事故で死んだ78歳ジジイと75歳BBAって、飲食店経営してたんだよな。 客に出してた飯、大丈夫か…。 [78] ブレーキとアクセルじゃなくて 塩と砂糖間違えました、みたいなwww [79] 不謹慎すぎて草。 [80] 横から失礼します。 あなたたちの投稿を見ているとかなり不快です。 なぜそこまで高齢者を憎むのですか、身内が事故に巻き込まれたりしたのですか。 それに、●県の川に車で転落した高齢夫婦についてですが、 ニュースを見る限り巻き込まれて犠牲になった人はいないですよね。 どうしてこの夫婦を中傷する発言が生まれるのですか? [81] 突然のマジレス乙ww [82] いやいや、犠牲者がいるいないは別に関係なくないですか。 善良な市民が暮らしている街に、この夫婦のような暴走車が走っていた っていた事実を問題視して何が悪いんですか。 [83] この掲示板、民度低いですね~。 [84] そもそも twittyとかで見かける「事故が増えてる」っての、完全な思い込みだよ。 この記事みてみ↓ 「警察庁は4日、全国で昨年に交通事故で死亡した人は3532人で、  統計を取り始めた1948年以降最少となったと発表」 「戦後最少だった1949年の3790人を68年ぶりに  下回った前年に比べて162人減り、2年連続で過去最少を更新した」 [85] クソどうでもいい情報おつかれ様 6月4日(木)10:00 「情報番組シットコ!のお時間です。」 「今日の特集は、いま社会問題となっている高齢ドライバーによる事故  についてです。  なぜ高齢ドライバーによる事故は繰り返されてしまうのでしょうか。  スタジオには、●●大学付属病院の脳神経外科の医師、  三田恵子先生に来て頂いております。先生、よろしくお願いします」 「はい、まずですね。  個人差はありますが、加齢によって人の脳には脳萎縮と併せて白質病変と  いう変異が見られます。  この病変が大脳の脳機能を妨害することで、脳の情報処理が遅れたり、  運転における判断ミスを犯したりするのです。」   「先生、ありがとうございます。  専門的なお話はありがたいんですが…。  おそらく視聴者の皆さんがいちばん知りたがっていること…つまり  こういった高齢運転者から自身や家族の命を守るために、  我々はどんなことに気をつければいいんでしょうか?」 「…え。そんなこと出来るわけないじゃないですか。  日本には4000万人の高齢者がいるんですよ。」 6月5日(金)18:42 twitty <<拡散希望>> 事故を起こして死んだ高齢夫婦だけど、夫のほうは元官僚だったことが判明。 早期退職して妻と一緒にカフェを開業。 ●県の高級住宅に居を構え、昨年はスイスに旅行。 子どもには恵まれなかったものの、裕福な勝ち組夫婦でしたー。 【6件の返信】 ① は?金持ちだったんかよ。死ねよ。 ② 死んだよwwww ③ 同情して損したわ…。 ④ また元官僚かよ。 死んだ人のことあんまり悪く言いたくないけどさ、 国民の税金で優雅に暮らし、挙げ句にはおたくらが起こした事故の処理とか 警察の捜査とかに税金がかかってんのはマジで勘弁してくれ。 ⑤ それな。 ⑥ さぞ幸せな人生だったんだろうな、この夫婦 コムラテックドライブレコーダー音声機能復元 「衝撃時、事故記録。6月2日11時32分。  事故の4分51秒前の音声記録を再生します。  ピーーーーーー」 「もうすぐ着くよ。約束の場所だ。」 「ねえ、あなた。」 「どうした、美由紀。」 「私ね、いままで本当に幸せでした。ありがとう、裕一郎さん。」 「なんだよ急に、照れるな。それは俺のセリフじゃないか。」 「あ、ねえみて。  ここ、あなたがプロポーズしてくれたベンチじゃないかしら。」 「ああ、本当だ。まだ残ってたんだな、もう50年以上も昔のことなのに。」 「車止めて、寄ってみる?」 「はは、やめておくよ。俺にまたあのときのプロポーズを  再現させるつもりなんだろ。」 「当たり。」 「あのときのあなた、こんなに大きな花束を持って  私が両手を広げても抱えきれなくなって。結局ふたりで持って帰ったね。」 「やめてくれよ、恥ずかしい。  美由紀はなんでも覚えているんだな。」 「もちろん。  幸せだったことは全部、覚えてる。」 「俺と出会ってくれて、一緒に老いてくれて、ありがとう。美由紀。」 「ずっと一緒だったね。」 「ああ、最期までな。」 「去年の安楽死、できなかったけどね。」 「はは、あれはショックだったな。  スイスだけにしか安楽死の制度がないから、せっかく語学を勉強しなおして  行ったのに持病がないから安楽死の対象になりませんって門前払いだったな。」 「ふふ、まだふたりとも健康だものね。」 「なあ、美由紀。」 「なあに。」 「やめてもいいんだぞ。怖くなったなら…」 「いいえ。怖くなんかないわ。」 「怖いのは、この先もっと老いて、あなたと離ればなれになること。  あなたが先に逝って、ひとりぼっちになること。  わたしが先に逝って、あなたをひとりぼっちにさせること。  それなら、まだ元気なうちに、幸せなうちに、一緒に終わりにしたい。」 「わかった。」 「それじゃあ、美由紀。目を閉じて。かなり揺れるけれど、我慢してな。」 「はい。」 「水が冷たいかもしれないけれど…」 「ねえ、あなた。」 「どうした。」 「手を握ってて。」 「わかった。」 「離さないでね。」 「当たり前だろ。俺は君と出会うために。」 「あなたと最期を迎えるために。」 「生まれてきたのだから。」 おわり
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