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何度もネガティブな思考を繰り返し、ようやく落ち着いた頃には6時40分になっていた。
「もう、こんな時間」
あれから9時間以上が経っている。
最近、時間が過ぎるのが異常に早く感じる。
特に楽しいことも、嬉しいこともないというのに…
ただでさえ短い時間を、無意味より最悪に過ごす日々というのは憂鬱を極めている。
「…お腹、すいたな。」
何か、買いに行こうかな。
そうだ、散歩もしたい。
散歩はメンタルに良い効果がある。
冬の香り、寒さは今しか味わえない。
冬の夜に散歩をしないなんてもったいない。
早速、上着を羽織り家を飛び出す。
体を冷やす空気に思わず息を吐いた。
「…はぁ…」
僕の吐く息は暖かいオレンジ色の街灯に色付けられる。
星が煌く夜。
空は美しい。
寒い夜道を堪能し買い物を済ませ家に戻る。
悩みに悩んで買ってきたのはエナジードリンク二本とホットドックにカップラーメンを二つ。
普段は体に悪そうだし値段も安くはないから遠ざけてきたけど、今日は特別だ。
もう、身体を気にする必要もない。
それにこういう食べ物は大抵、ジャンクフードなんて名前をつけるのがもったいないほど美味しい。
カップラーメンは激辛注意と書かれているものと、普通のもの。
量はどちらもそれほど多くはない。
最初にホットドックを食べ、エナジードリンクを流し込む。
炭酸の刺激と独特な味はクセになる。
依存と言っても差し支えはないくらいに。
ホットドックを食べ終え、電気ケトルのボタンを押す。
辛いのから食べようか、普通のから食べようかを悩みつつエナジードリンクに口をつける。
「…うーん。」
最初に辛いのを食べよう。
カチッ…
沸けたお湯を流し込み蓋を閉じる。
五分か…
こういうの四分くらいで固いめんを無理に混ぜてふやかすのが美味しいんだよね。
一本めのエナジードリンクを飲み干しラーメンを混ぜる。
地獄のように赤く染るスープからはむせるほどの強い匂いがする。
…こりゃ、辛そうだ。
ハフハフ……
ズズズ…
「辛い。」
唇が腫れるような感覚。
口の中はヒリヒリと痛み、熱さと相まって味がわからない。
それでもやはり人気なだけある。
たくさんは食べられないが、クセになる辛さだ。
一つめを食べきり、二つめのラーメンにお湯を注ぐ。
こちらは三分だ。
冷たい水で口を直し、麺を啜る。
ひとつ目が強烈だったから少し控えめに感じるが、徐々に舌が戻り懐かしい味を堪能する。
スープまで飲み干す頃には涙をこぼしていた。
食べながら頭に浮かんでいた家族のこと。
幼い頃からの記憶。
こんな自分で申し訳ないような気持ち。
大人になるにつれ友人たちも変わり、遊びの話題で盛り上がれなくなり心から楽しめなくなった。
自分だけ取り残されるような悲しみ。
もう、9時か。
僕は後片付けもせずキッチンに向かった。
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