1.初日

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 「おはようございます…」    約1か月の新入社員研修期間が終わり、今日から資材管理部に配属されることが決まっている。  私は、資材管理部と書かれたエリアの入り口から顔をのぞかせて、声をかけた。  中にいた女性が私に気づいて、少し笑って言った。  「おはようございます。  そんなところにいないで、中に入ってきてください」  私は「すみません」と小さな声で言って中へ入る。  緊張で声が震えているのが恥ずかしい。  もう少しきびきびと動きたいと思うのだけれど、人見知りの場所見知りで、初めての場所ではおかしいほど身体が委縮してしまう。  おずおずと女性のいるデスクに近づいていくと、その人はパソコンに何か入力していた。  「えっと、悪いけどお名前を聞かせてくれるかしら」  PCに向かったまま言われて、私は焦って「霧里和奏(きりさとわかな)です、よろしくお願いします」と頭を下げた。  首から下げたIDカードに『増田梨花』と書いてある、20代後半くらいの女性はPCを操作して、「ん…?霧里さん?」と不審げに首を傾げた。  「霧里、和奏さん…  って、ああ!あの霧里さんね」    えっ…「あの」霧里さんって…なに?  
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