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曇天
その場所は、いつ行っても淀んでいた。
新しい庁舎の1階、日当たりの良い場所にありながら、何故か薄暗い感じが漂う。
人がごった返して3密だからか、空気が淀んでいた。
いや、もしかしたら集まる人々の心に巣食う、不安のせいなのかもしれない。
ここには、様々な理由から職を失った人が多く集まるのだ。
―― ハローワーク
若者からはハロワと略されて呼ばれるその場所は、新たな働き手を探す企業側と、職を求める労働者の縁を結ぶ場所だ。
この日は、朝から天気が悪かった。
求人検索機で求人票を閲覧していると、隣に座る中年男性が深い溜息を吐く。
溜息の一つも吐きたくなる気持ちは分かる。
求人に応募し続けても、書類選考で落ちる、筆記試験で落ちる、面接で落ちるという3つのふるいにかけられて、いつになったら採用してもらえるのかと胃をキリキリさせながら自分に出来そうな仕事をここで探し続けるのだ。
しかしこの中年男性、余程落ち続けているのだろうか?
顔には生気が全くなかった。
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