1吸血『天使か悪魔かバンパイアだ!?』

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 その囁きと同時に、首筋に痛みを感じ声が漏れる。  わかっていたことだが、やはり血を吸われる時の痛みに顔が歪んでしまう。  だが次第にその痛みが気持ちいいと感じ始め、甘い痺れに酔ってしまったような感覚になる。 「って、いつまで吸ってんのよ」 「おっと、これは失礼。貴女の味が私好みで、つい吸い過ぎてしまいました」  男は笑顔で答えているが、吸い過ぎると言うことは私の命に関わるということであり、笑い事ではない。  兎に角これで満足したはず。  約束通り、もうここへ来ないようにと念押しすると、伸ばされた手に顎を掴まれてしまう。  男の妖艶な瞳が私を捉え、声が出せなくなってしまう。 「やはり貴女の血は美味しいですね。それに、こうしてよく見ると貴女自身も美しい」 「ッ、いい加減にして!! 約束は約束よ、誤魔化さないで」  男はスッと顎を掴んでいた手を放すと、くつくつと喉を鳴らし「失礼。あまりにも貴女が感情的だったものでつい」と、馬鹿にしたようなその言い方に、私は恥ずかしさと苛立ちが込み上げる。 「まさか、約束を破るつもじゃないでしょうね」 「まさか。ですが、私は貴女の言葉に頷いた覚えはありませんよ」  先程のことを思い出すが、男の言う通り私の言葉に了承はしていない。  男が血を吸ったことで了承したのだと勝手に私が思っただけ。  すると男は「一目見たときから貴女に惹かれるものを感じていました」と真剣な表情を私に向け言う。  その眼差しに鼓動が大きく脈打ち、次第に近づく距離に鼓動は更に加速する。  気づけば、男から目が逸らせなくなっていた。 「それって……」 「ええ、どうやら私は貴女の……」  鼓動を高鳴らせ次の言葉を待っていると、男はうっとりとするように目を細め、頬を色付かせながら口を開く。
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