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輝人くんがライブに向けて本格的に忙しくなり、会えない時間が増えていたある日、理央から電話がかかって来た。
『舞衣!前に言ってた動画の輝人くんおぼえてる? そのsnowdropのライブが十月にあるから一緒に行こう』
チケットはもう持ってます!なんて言えるはずなくて、忙しいとかなんとか断ろうとしたけど、理央はすでに私の分のチケットも用意してくれたという。
どうしよう…
ちゃんと付き合っていることを伝えるべきなんだろうけど…なんて言えばいいんだろう。
「理央、私本当にライブとか苦手で…」
『そんなのわかってるって でも一緒に行く人いないし、ね、お願い』
「あ、うん…や、でも」
必死に言い訳を考える。
『お願い!舞衣しか一緒に行ってくれる人いないから 一生のお願い!!』
理央には一生のお願いを、今まで何度されただろう。
子どもの頃からの、数々の一生のお願いが頭を巡って、苦笑いを浮かべるしかないほどだ。
でも、私は理央の一生のお願いに弱い。
これを言われると断れなくなる。
「わかったよ」
今回もまた…
『やった!ありがとう舞衣、大好き』
押されると弱い私は、こうやっていつも負けてしまう。
あぁ、この性格なんとかしたい。
いったいどうすればいいんだろう。
溜息が止まらなかった。
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