トマトの神様の隣

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ーーーーー 月日が流れるのは早くて、理央に言えないままライブの当日を迎えた。 輝人くんのライブをまた見れると思うと心が躍るけど、それよりも、理央に輝人くんとのことを言えていないことが、憂鬱で仕方なかった。 ライブを見に行くだけなら、ステージの上の輝人くんを見るだけだと、言わなくてもやり過ごせるんじゃないかと思った私は、輝人くんには楽屋に行かないことを伝えた。 梅田のライブハウスに向かう途中、有名なたこ焼き屋に行ったり、インスタ映えスポットに立ち寄ったりした。 道中何度も言いかけたけど、やっぱり言えないまま、ライブ会場に着いてしまった。 会場前は、色とりどりの髪をした人が沢山いて、私は場違いなんじゃないかって尻込みしてしまう。 でも、集まるファンの人たちの顔を見ていると、みんな一様にキラキラした表情で、期待に満ち溢れた笑顔で楽しそうだ。 それを見ているだけで、みんなsnowdropが大好きなんだって伝わってきて嬉しくなる。 隣にいる理央も同様、目を輝かせて期待に満ちた表情をしている。 いつにも増して、テンションが高い。 みんながひとつの場所に向かっているような、そんな空気感を作り出せるsnowdropはやっぱり凄くて、こんな景色をステージの上から見ているんだと思うと、輝人くんが違う世界の人のように思えて、少し寂しくなった。 ピロン 微かにLINEの通知音が聞こえて、鞄の中から取り出したスマホを確認すると、輝人くんからのメッセージが届いていた。 [舞衣ちゃん!お友達も一緒に楽屋に来たらいいけん、終わったら来てよ] [今日は終わったら帰るね、楽屋行けなくてごめんね] 輝人くんは演奏に感情が出やすいから、細心の注意を払ってメッセージを送る。 私の一言で、ライブパフォーマンスに影響が出ては、メンバーや楽しみに来ているファンの人たちに申し訳ない。 [明日の夜、ゆっくり会おう 頑張ってね! 大好きだよ] そうメッセージを送ってLINEを閉じた。 私だって会いたいよ…輝人くん。
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