トマトの神様の隣

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勢いに任せ、いつもしないような大胆な行動に出てしまったけど、どうにもできなくて、おろおろしてしまう。 そんな私の肩をそっと叩き、俺に任せてと目で合図して、怜くんが理央に声を掛けてくれる。 こんなとき、大人で優しい怜くんは頼りになる。 「理央ちゃん、ライブ来てくれてありがとう」 怜くんにキラースマイルを向けられて、急に我に帰って固まる理央。 そして、これが現実と知ると、今度は目の前に怜くんがいることに騒ぎ出す。 「キャー!! 本物の怜くんだ! かっこいい 今日見てファンになりました! 彼女にしてください」 感情が忙しい理央が可笑しくて、可愛らしくて、みんながまた笑い出す。 でも、さすがに彼女って… 「ちょっと理央、それは怜くんが困るから…」 感情のままに変なことを口走る理央を窘める。 そんな私たちのやりとりに、また笑いが起きる。 私は今まで、こんな派手な人たちとは繋がりがなくて、偏見かも知れないけど、クラブとかライブハウスに出入りするような人は、怖い人だと思っていた。 でも、輝人くんと知り合って、snowdropのメンバーと話すようになったら、派手なのは見た目だけで、本当は凄く優しくて、仲間思いで、温かい人たちだって知った。 大人になっても、大切なものを一緒にわかちあって、喜びあえる仲間がいるって素敵なことだなって、その中に私も入れて貰えて、本当に幸せだと感じる。 大好きなsnowdrop。 大好きな輝人くん。 この人たちに出会えたことは本当に奇跡で、大切な宝物だと感じさせてくれる。
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