トマトの神様の隣

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「舞衣ちゃん、不安があったらちゃんと言って欲しい。俺は舞衣ちゃんが大好きやけん、いつも隣で笑っていて欲しいっちゃよ」 そう言われて、出会った頃は素直でいられたはずなのに、いつの間にか嫌われたくなくて、変な気の使い方をしていたことに気付く。 バンドマンの彼氏を持って、人気のある彼に対して遠慮したり、卑屈になっていたことに、あらためて気付く。 こんなに大切に想われているのに、なんで信じないで不安になったりしたんだろう... いつだって私を一番に想ってくれてるって、わかっているはずなのに… これからもこんな不安は沢山あって、それを乗り越えて行かなければならない。 輝人くんがsnowdropのドラマーで、ファンが沢山いることは変わらない事実なんだから。 これからもっと、大きくなっていく彼のことを、認めて支えるのは私なんだと気付くと、下を向いてなんていられないって思った。 だから、だれに遠慮することなんてない。 輝人くんは私の自慢の彼氏なんだからって、今はそう、胸を張って言える。 「ありがとう輝人くん、私も大好きだよ」 なんだか素直になりたくて、恥ずかしいけど大好きって、ちゃんと言葉にして伝えたくなった。 いつも言わない私からのレアな告白に、輝人くんが目をまん丸にして驚いている。 そして、大好きなクシャッとした笑顔になる。 「舞衣ちゃん! 俺も大好きやけん」 「しー! 声大きすぎ」 「舞衣ちゃん大好きやー」 「ちょと、輝人くん…」 騒いでいる私たちに気付き、先を歩いていた理央と怜くんが振り向いて、私たちを冷やかす。 「おっ、バカップルがおる」 「本当だ、イチャイチャしすぎでしょ」 私はなんて幸せなんだろう。 輝人くんの隣はやっぱり居心地がいい。 私を隣にいさせてくれてありがとう。 これからもずっと、トマトの神様の隣にいさせてください。 完
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