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「あぁ、どっかに出会いないかなー いい男落ちてないかなー」
「理央はそればっかだね」
ピンクを基調とした、ゆめカワなカフェの店内で、インスタ映えと話題のパンケーキを前に、愚痴をこぼしているのは、幼なじみの理央。
「だって、周りは山ばっかの場所でさ、出会いなんかなくてさ、こうやって大阪に遊びに来なかったら、出会いもなにもあったもんじゃないでしょ こんな可愛いパンケーキだって食べられないし」
そう言って、得体の知れない虹色のソースがかかったパンケーキの写真を撮りまくる。
「でも、大阪にいたって出会いなんて…」
そう言いかけて、頭に浮かんだ彼のことは、まだ言わないでおこうと口をつぐんだ。
「舞衣はなんだかんだ言っても、近くに遊べるとこがあって、出会いもある町に住んでて、ショップスタッフとか店長とか華やかでさ、 彼氏もいるし羨ましいわ」
目の前のアイスティーを飲むでもなく弄びながら、ストローをクルクル回し、機関銃のように喋る理央。
彼女はいつも一人で喋って、勝手に盛り上がる。
早いテンポの会話に、どこで相槌を打ったらいいのかわからない私とは、喋るテンポが違いすぎる。
この早さで喋られたら、言葉を挟む隙なんてどこにあるんだろう…といつも感心してしまう。
そんなことを思っているうちに、万華鏡を回すようにくるくると話は変わっていく。
だから、元彼と別れたことを言うタイミングを逃してしまった。
もちろん、今付き合っているトマトの神様のことも…
「最近さ、よく動画見てるんだけど、すっごい気になってる人がいるんだよね」
「そうなんだ」
パンケーキを頬張りながら、器用にスマホを操作する理央。
「見て見て」
そう言って見せられたのは…
真っ赤なマッシュルームヘアの男の人がドラムを叩く動画。
えっ!?
これって…
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