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「輝人くんはやっぱりsnowdropのドラムの人なんだなって、囲まれてる姿見て実感しちゃった」
心配かけたくなくて、下手な笑顔で誤魔化したけど、全然ちゃんと笑えてないことくらいわかっている。
「そうやけど、舞衣ちゃんの彼氏でもあるっちゃよ」
そう言って私の手を取って歩き出す。
私は引っ張られる形で着いていく。
すると突然止まった輝人くんの背中にぶつかりそうになる。
急な行動に、怒っているのかと戸惑っていると…
「心配しなくても、俺は舞衣ちゃんが大好きやけん」
振り向いて、また私の大好きな笑顔で笑ってくれた。
「帰ろう、早く二人きりになりたいけん」
素直すぎる輝人くんの行動や発言に、私はいつもドキドキさせられる。
そして、どうしようもないくらい好きになっていく。
全然素直じゃなくて、感情表現が苦手で可愛いくない私に、こんなにも好きを伝えてくれる。
本当は私も伝えたくて、でも言えなくて、前を向いて歩く輝人くんの背中に、大好きだよって心の中で呟いた。
そして、足早に歩いて隣に並ぶ。
繋いだ手に、キュッと力を込める。
彼の隣は心地いい場所だと感じながら、やっと自然に笑顔を返すことができた。
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